僕と、僕らの夏

Date: Mon, 17 Oct 2005 21:12:42 +0900
From: Kuro代理
Subject: 僕と、僕らの夏

 ども、Fukapon(Kuro代理)です。

 Kuroさんからガサッといただいたゲームレビュー(のうちの1本)です。 処理が遅れていてごめんなさい...。 light 『僕と、僕らの夏』、いつプレイしたのかは不明、なのかしらん。 ついに来た、light(謎笑。 では、レビューをどうぞ。

 このメーカーさんの結構初期の作品ですかね〜。 田舎+夏は、あるゲームをやってから異様にはまりまして、このゲームも…。 よ〜く注目するとこれを舞台にしたゲームはこの年にたくさん出てますね〜。 おそらくあれの影響かと…。

音楽

 このゲームで初めて五線譜片手にゲームをしました。 それほどまでに音楽はすばらしいです。 最初は、アイリッシュ音楽中心かと思ったのですが、どうやら北欧の民俗音楽が中心となっている模様。 アイリッシュのようなウェールズのような、いろいろな民俗音楽のフュージョンでしょうか? しかし、場面の雰囲気は出ているものの、ゲームの舞台には適していないような気がします。 舞台は、日本の夏…。 合わないことはないのですが、かなり違和感を感じます。

 サントラとして聞く分には最高なのですが、ゲームとしては今ひとつといった感じです。 ここまで徹底的にエスニック系の音楽を使うのでしたら、舞台にあわせたものにして欲しかったです。

 ヴォーカル曲に関しては、主題歌(?)である『僕と、僕らの夏』は最高です。 歌い方といい、声といい、雰囲気が出ています。 曲自体も名曲だと思います。

キャラ, 絵

 パッケージとマニュアルを見たとき「うわ〜、ロリ〜な感じでかなり好みやわ〜」いざ、ゲームをプレイしたとき「え…??」両方を見比べる…。

 全然、違うやないですか!!(何故かえせ関西弁) そのぐらい、マニュアル類の絵とゲーム内の絵が違います。 絵にも注目してたのに、ゲームを始めてからとてもがっかりしました。

イベントCGは、すごく綺麗です。 背景も細かいところにまでこだわっていますし、きれいですから問題ないんですよ。 むしろ、このふたつは基準値以上ですよ。

 問題は…。 何です? この立ち絵は? 非常にバランスが悪いです。 冬子とかはまだいいですよ。 メインヒロイン(?)であるはずの貴理の絵が最悪です。 顔でかくて、お腹が出ていて…萌えない…。 萌え尽きたのではなくて、はじめから萌えません…。

 おまけに主人公がへたれ…。 最後はいいですけど、へたれ…。 サブキャラは設定がかなりいいです。 爺さんとか友達(名前忘れた…)とか…。

 CVについてですが、男性にも声があったのがすばらしいです。 どのキャラも、ボイスがきちんとはまっていて違和感がありません。 むしろこのボイスの出来は最高です。 声優さんの演技とかすばらしいです。 貴理の声優さんについては、ある場面でとても感動しました。

シナリオ

 このゲームの見所はずばりこれです。 絵とかを見て、がっかりしたんですが、これがあったおかげで、持ち直しました。 どこがいいかというと、まずは場面設定がいいです。 ダムで沈んでしまう田舎の村…。 それがとても上手に描かれています。 細かいところまでよく調べたような努力のあとまで見られます。 それほど、このライターさんは設定を徹底的にやっているのではないでしょうか。

 次にシナリオの見せ方がいいです。 最初は、主人公視点と貴理視点が交互に繰り返され。 違和感を覚えたのですが、実にはこれにはしっかりとした意味がありました。 全ヒロインをクリアすると裏ルートがあるのですが、ここの部分でそのようにした効果が出てきます。

 さらに、終わり方もいいです。 予測が出来ませんでした…。 でも、めちゃくちゃというわけではなく、きちんとした終わり方です。 どのシナリオでも、主人公が大切なものに気づくという感じです。 あと、普通のエロゲーではその人のルートに入ってしまえば、他のヒロインが関係なくなってしまうことがあるのですが、これには密接にかかわってきます。 あるエンドなんかでは、主人公がある人をふって終わったり(このときのシーンは最高です)、またあるときは主人公がふられて…。 こういうシナリオが書けたのは、最初に申し上げましたとおり、設定がしっかりしているということが要因になっていると思います。

 主人公は、はじめ恋をしていて村に戻ってきたという設定です。 その設定、そしてキャラの設定が見事に活かされたシナリオです。 感動はないけど、いい話です。 恋愛ではなく、青春物語といったほうがあっています。 最近の作品でこれに似たのがminoriの『はるのあしおと』ですね。 主人公とかキャラの成長という意味でそっくりです。 まあ、なんにせよシナリオライターのレベルの高さ、意気込み、丁寧さがわかるシナリオでした。

まとめ

 う〜ん…。 バランスの悪い作品ですね。 スタッフの方々の力の入り方がすごいのはよくわかるのですが…。 音楽は力を入れて割にはからまわりしていて、キャラは力を入れている部分とそうでない部分の差がもろにわかってしまいますし、シナリオは最初から最後まで文句なしでしたが…。 その他基本システムも充実していて、いいんですけどね…。 まあ、端的に申し上げますとこのゲームは評価の分かれるゲームということで…。

 評定。 音楽:7, シナリオ:10, キャラ/絵:6。 得点:79。