Date: Sat, 10 Jan 2009 21:04:43 +0900
From: Fukapon
Subject: しゅぷれ〜むキャンディ 〜王道には王道たる理由があるんです!〜
ペンギンにゃ、みなさま。Fukaponれすの。
例年になく絶好調だった今年、2本目にして5巡(bad, 羽依, 時未, 弓音, 悠莉)を終えた枕 『しゅぷれ〜むキャンディ 〜王道には王道たる理由があるんです!〜』のレビューいってみよー。 なお、レビューの感性が遅くなりましたが、プレイ自体は1月4日に終えています。
概要は手厚い説明のあるWikipediaにお任せ。
そして、内容のレビューに行く前に、タイトルだよ、タイトル。 何だ、この長いサブタイトルは。 そもそもここが王道、教科書に反するだろうが。 サブタイトルなんて逃げ道でしかない。 なくても済むものは消す。 デザインの基本だ。 タイトルはデザインじゃないって? 否。 そんな呆けたことを言っているから、内容も「王道」とは言えない抜けたものになるわけだ。
のっけから厳しいことを言わせていただこう。 ゲームとしての作りと展開は、ダメのお手本。 悪しき慣習の連鎖。
これは何も好みで言っているわけではないのですよ。 もちろん、好みもありますが。
サブタイトルについても「逃げ道でしかない」と書いたのですが、これら悪しき慣習も、制作者にとっては都合のよい逃げ道です。 だから、作る側に立った場合、そうしたくなってしまうことはわかるんですよね。 王道を「安直で、安易な道」と解釈するならば、まさにその通りではありますが。 「最も正統で、手堅い道」であって欲しいものです。
単純すぎる分岐判定は言うまでもなく、システムの作りが楽になります。 エロゲ的にはその上に載っかってくるスクリプトも楽になるでしょう。 しかしここで楽することで、選択の必然性が失われてしまいます。 極端な話、世界を支配する「コスト」の概念が揺らぐのですよ。 このゲームをやるとわかりますが「あの選択肢を選んだから、この未来に繋がるんだな」とゆーのがないに等しい。 いわゆる恋愛シミュレーションとして選択肢を用意する意味は、どこに行ったのでしょうか。
あまりうまい呼び方でもありませんが、all or nothingの選択肢判定も同じです。 そりゃ、作る方は楽でしょう。 でも、みーちゃんが他の子に冷たいお兄ちゃんを好きになるかは甚だ疑問です。
そして、クライマックスはやはりこれ。 あほですか。 そりゃ、作る方は最高に楽です。 小説で言えば、地の文や展開そのものと、会話文を分冊しているようなものです。 前者を必須にしておけば、大した苦労もなく話の筋を理解してもらえ、あとはどれだけぐちゃぐちゃだろうと読者が補完してくれますからね。 しゅぷれ〜むキャンディの場合、世界の根幹は羽依ルート、続いて悠莉ルート(そして最後にジャコルートで、でしょう)で説明されます。 そしてあとは、まぁ、そーゆーこと。 スタッフ諸君、こんなひどい出来損ないを、弓音に見せられるのか?
ここまで書くとまぁ「多くの美少女ゲームがそんなもんでしょ」ってなってしまうのが美少女ゲーム、特にエロゲの素晴らしいところでもあります。 そんな出来損ないですら(話が出来損ないでも、例えば絵や声が上出来であれば)第一戦で戦える自由さがいいところではあります。 しかし、「王道」を語るなら、がんばって欲しいところですよね。
「羽衣との思い出は何?」って聞かれると「んー、何だろ?」ってなっちゃいます。 要は、羽衣ルートが「説明」に過ぎないからですね。 まぁ、元々興味がなかったってのもあるけど。 しかも一歩先が綺麗に読めるのがまた...。
そんな中でも、しゅぷれ〜むキャンディで記憶を失わせ、羽衣と別れるシーンなんかはうるうるしたかな。 その前の最高魔法院の「あんまりな後付け」はどうかと思いましたが、そこからあとはまさに定石。 そーゆーのをキッチリ続けてもらえればなぁ。
ぁ、そうそう、予想を遥に裏切ってエキセントリックな展開の部分がありましたよ。 これ、他のキャラもそうなんですが...。 突然のエッチ、しかも突然フェラ or パイズリ。 ...いいよね、もう、言わなくてもわかるよね?
さぁ、いよいよ本番ですよ(笑
私と言えばロリ、私と言えば幼女。 それぐらいに幼い子好きの私としましては、もちろん一番の狙いはときみーちゃんだったわけですが...。
なんかパッとしない。
みーちゃんに「お兄ちゃん遊ぼ」って言われて、騒がしくどたばたしているあたりはとても幸せです。 やっぱり幼い子はいいなぁと思うのです。 しかし、肝心のしゅぷれ〜むキャンディで大きくなった時未との恋愛はどうでしょう。
ロリなみなさまにはわかっていただけるかと思うのですが、私たちは、彼女たちに性急な恋愛や、性行為を求めたりしません。 ずっと好きあっていたいけれども、その「好き」は最初から恋愛なんかじゃないんです。 ゆっくり共に歩んでいく中で、ふと芽生える恋心を、二人で育てていけたらいいな。 そう思っているんです。 その先にはエッチもあるよね、と。 その辺でちょっと(= とても、とっても)人より幼めの身体だと嬉しいなと思うのは本心なので隠しませんけど。
みーちゃんがパッとしないのは、その重要な「二人で育てる」ところがすっぽりと抜けちゃっているからでしょう。 小学校低学年かな、そんなみーちゃんが「お兄ちゃん大好き」ってべたべたしてくるのは可愛くって最高です。 何年後かの記念日に、どうしても今日がよかったのと、抱かれるみーちゃんも可愛くって最高です。 でも、必要なのはその間、二人の恋愛はその過程なんですよ。 そこを見事にすっ飛ばしてちゃ、そりゃいまいちだわな。
途中、しゅぷれ〜むキャンディで身体だけ大きくなった時未とデートをしても、恋愛とはほど遠いでしょ。 確かにみーちゃんはお兄ちゃんと一緒にいたくて、お兄ちゃんに喜んで欲しくて大人の身体になるかも知れない。 けれどもそれは恋じゃなくて、お兄ちゃんにとってももちろん恋じゃない。 そこを無理に恋愛として展開させようとするから無理が出るんですよね。
そして成長したら前述のいきなりフェラ仕様でそりゃもうどこに同感情移入していいのかわからん。
...正直言うと、成長した時未も見事に幼いところは嬉しいんだけどね(笑
この不作の中、弓音はとてもいい子!(笑
しゅぷれ〜むキャンディの根幹とは関係なく、普通のベタな恋愛展開です。 確かにこれは王道だ。 ...初エッチでパイズリから入る以外はね。
もう、だって、弓音すっごい可愛いの。 少しお姉さんっぽい感じの日常とか、いいよねー。 なんだろ、あの背伸び感が、ロリな私の心をくすぐるの? でも背伸びって程じゃなくて、実は等身大、無理なく好きなこと言っちゃうあたりが、ロリな私の心をくすぐるの? あー、お姉さん萌えちゃうじゃないかっ。
あの年齢でエロゲヲタってのは、優が可哀相だなぁって思ったりはするけど。 いや、だってさ、お姉さんにエッチなネタでいじられたりしても辛いと思うよ。 あんな可愛い子相手にどう返せばいいのか、向こう3年はわからんでしょ。 あたしなんか未だにわからんと思うよ...。
そしてなんと言っても弓音の見所は、小説家志望。 いやー、終盤でそう来るか? と、つい身を乗り出し、現実に引き戻されたね(笑。 でも、彼女には言っておくべきだろう。 敏腕編集、杉原紫衣様のお言葉を。 経験なくても書くのが作家のイマジネーションなんだよ。 ホント、実際そうだと思うよ。 私は弓音にあっさり引き離された、ピコ手同人作家だけどさ。 そんな私が書く小さな話ですら、経験で書ける部分はごくわずか。 いいんだよ、経験なんか。 むしろ書いて経験にすれば。 つか、やったことなくてもいきなりパイズリできるんだからがんばれよ(笑
ライトノベルかエロゲシナリオかハッキリしないけど、とにかく商業デビューを決めた後、二人一つのベッドで迎える朝の彼女なんて、もう、惚れるしかないよなぁ。 つか、その前からベタ惚れだもんねっ、とか本人に言いたいくらい。 あー、あたしの隣にも弓音お姉さんが現れないかなぁ。 つか、お前が弓音にならんといかんのだろっつー気もするが。 ...それは言わないで。 がんばるから、許して。
しかしこれだけ褒めちぎってる弓音ルートですら、やっぱり足りないところが。 彼女、なんで小説書いてるの? なんで商業一直線なの?
商業の人の気持ちってのはわからないけど、少なくとも同人の人なら、同じように疑問に思うんじゃないかな。 自分がなぜ書いているのか、どこへ向かうのかって、ふと考えちゃったりすることがあると思う。 別に大した答えなんか出さないんだけど、まぁ、それなりにみんな答えは持っているんですよね。 それで書くことを続けたりやめたり、同人を続けたりやめたり、商業に向かったり向かわなかったりすると思うの。 そこの部分が弓音にないのが気になりますね。 と言うか、それこそ物語のキーにすべきところだと思うんですよね。
恋愛相談に乗っているうちに好きになっちゃったってのは悪い展開じゃありませんが、弓音の生活、信念で展開に厚みを持たせてあげれば、もっと可愛くなったのになと悔やまれます。
ところで。 双眼鏡を使うような距離にあるものを携帯のカメラで撮影しても、顔までは判別できないと思うよ。 弓音にはロクヨンでも持たせてやるべきでしたね(笑
彼女の不思議っぷり、電波っぷりには相当惹かれました。 もう、すげー期待しちゃった。 なのに、なのに...。
羽衣の続き。 まぁ、そーゆーことです。 ホントこれと言って印象に残ってない。 しゅぷれ〜むキャンディで幼くなった彼女の裸と、恥ずかしそうにマスターベーションする彼女の姿しか覚えてない(笑
んー、基本を疎かにし、奇を衒い、二兎を追うものは一兎を得ず。 改めてそう感じさせてくれたお話でした。
さ、システム関連。 今回プレイしたのはインストールしたまま、パッチなしのバージョンです。 発売日である2008-09-26に「演出強化パッチ」がリリースされていたのですが、そのことに気付いたのがプレイ開始後だったのです。 ...ええ、そうですよ、「本プログラムをインストール後、それ以前のセーブデータは使用出来なくなります。」ってあほか。 もう、話になりません。 おまえらはMicrosoftの偉大さを胸に刻んで出直してこい。 セーブデータが継続使用できるぐらいのプログラムには、当然しなくてはなりません。
まぁ、誰が悪いのかは知らんが。 使われているシステムはブリコ Ethornell(Buriko General Interpreter)のようです。 さすがは外注システムだぜと思わせる面もあるのですが、詰めの甘さが残るのも事実ですね。 繰り返しますが、どっちが悪いのかは知りませんけど。
チューチューマウスを思い出したわ(笑。 掃除機の形にデモして走らせればよかったのにね。 何にせよこれって好き嫌いあると思うんで、ON/OFFできた方がいいかなとも思いますが。 一通りプレイした限り、邪魔な動きはしませんでした。
ただ、そこまでして操作量を軽減しようとしてくれているのに、右クリックがメニューとなる点は理解できません。 この不出来なお話です、売りはやはり絵になると思うんですが、それを綺麗に見せるための操作が優遇されないのはおかしいと思いませんか。
インストーラは独自のもので、ユーザ指定のディレクトリにフルコピーするしかない単純なもの。 下手なオプションがないのは潔くていいと思う。 インストール処理は9分で完了。
なんか順序がぐちゃぐちゃですが、今回プレイしたPCはこれね。 たまに重たいところもありましたが、総じて問題なかったと言えます。
そーゆーことです。 「王道」の示すところが「制作者にとって安直で安易な道」となっていることが全てを物語っていると言えるでしょう。
パーツを見ると魅力的なところもあると思うんですけどね。 例えばとんでもない初エッチを繰り広げる彼女たちは、可愛い洋服を着て、可愛い下着を着けていたりします。 この辺は女性原画家ってのが効いているのかも知れません。 しかし、なぜかみな似たり寄ったりの好みってのも、女性原画家ってのが効いているのかも知れませんが。
最後になりましたが、プレイ時間をご報告。 最初のバッドエンドまでが160分 = 2.7時間。 そこからスキップ併用で羽衣EDまでが220分 = 3.7時間。 さらにスキップ併用で時未, 弓音, 悠莉EDは2.5時間ずつでした。
これにて、2008年新年三が日耐久エロゲは終了です。 いつも通りに冬コミ最終日のあと、積み上げた4本中2本をプレイしてみました。 ちなみにこれ、キャンディ舐めたら女の子になれるんだと思って買いました...。